「モンテッソーリの手作りおもちゃを家で遊ばせたい!」と考えているパパママにとって、我が子が遊んでくれるか不安だったり、どんなふうに作るのかわからなかったりするものです。
その悩みに現役の保育士がお答えします!
本記事は、モンテッソーリの基本的な考え方や遊び方、そして手作りおもちゃの作り方などを紹介します。最後まで読めば、今からでも「おうちモンテ」ができるでしょう。
ライター名:上野真人 先生
保有資格:保育士資格、幼稚園教諭
経歴:保育歴15年の3児の父親。現在は保育士をしながらベビーシッターをおこないながら、子どもの発達に合わせた知育おもちゃを提供している。好きな玩具はカプラとけん玉。
メッセージ:多くの育児相談に寄り添った経験から、保護者様の悩みに寄り添った情報をお伝えします。ぜひ子どもとの「今の時間」を大切にして過ごしてくださいね。
目次
モンテッソーリ教育とおもちゃ(教具)の基本を保育士が解説
モンテッソーリ教育で使うおもちゃは「教具(きょうぐ)」と呼ばれ、子どもの「やってみたい」を引き出す大切な道具です。
この教育法は「子どもは自分で育つ力を持っている」という考えが基本です。大人が一方的に教えるのではなく、子どもが自ら発見し「楽しい!」と感じられる環境作りを大切にしています。
教具は、まさに子どもの知的好奇心を引き出すモンテッソーリ教育の主役といえるでしょう。
出典:日本モンテッソーリ教育綜合研究所「モンテッソーリの基本的な考え方」
モンテッソーリの手作りおもちゃ(教具)が子どもの発達を促す理由

「自分でできた」という自己肯定感が育まれる
手作りおもちゃは、お子さんの「できた!」という成功体験につながり、自己肯定感を育みます。子どもの発達や興味に合わせ、遊びの難易度を細かく調整できるからです。
夢中で取り組むことで高い集中力が身につく
手作りおもちゃは、子どもが時間を忘れて夢中になれるため、高い集中力が身につきやすくなります。
何かに没頭する経験を繰り返すことが、お子さんの集中力を育むきっかけとなるでしょう。
指先を動かすことで脳の発達につながる
指先をたくさん使う手作りおもちゃは、脳に良い刺激を与え、心と体の成長を促します。
「つまむ」「握る」「貼る」といった多様な指先の動きは、脳を活性化させると言われています。
子どもの「敏感期」に最適な環境を用意できる
モンテソーリ流の手作りおもちゃは、子どもの「敏感期」に合った環境をすぐに用意することができます。
敏感期とは、ある事柄に強い興味を示し、同じことを繰り返す特別な時期のことです。
例えば、物を投げたがるのは「投げる」動きへの敏感期かもしれません。その興味を叱らず、安全なボールとカゴを手作りすれば、欲求を満たしつつ能力を伸ばせますよ。

手作りおもちゃ(教具)の5つの効果

1. 集中力の向上
手作りおもちゃは、子どもが遊びに没頭しやすい環境を作り、集中力を高めます。モンテッソーリのおもちゃは遊ぶ目的が明確で、繰り返し楽しめるものが多いです。
2. 自立心の育成
手作りおもちゃでの活動は、「自分でできた」という経験を通じて子どもの自立心を育てます。
モンテソーリのおもちゃはお子さんが一人で扱えるサイズや難易度のおもちゃが多く、大人の助けなしに達成感を得ることができるのです。
3. 手先の巧緻性向上
多様な指先の動きを取り入れた手作りおもちゃは、手先の巧緻性(こうちせい)を効果的に高めます。
巧緻性とは、指先を思った通りに器用に動かす能力のことで、幼児期の遊びを通して大きく成長します。
将来、お箸を正しく持ったり、きれいな字を書いたりするための大切な土台です。
4. 論理的思考力の基礎づくり
手作りおもちゃは、遊びの中に物事の順番や規則性を自然に含めることができ、論理的思考力の基礎を育みます。
5. 創造性と探究心の発達
モンテッソーリの手作りおもちゃは、子どもの自由な発想を促し、豊かな創造性と探究心を育みます。
「なぜ?」「こうしたらどうなる?」という興味から物事の本質を自然と探求し、創造力が身についていくのです。

【0歳児向け】モンテッソーリ手作りおもちゃ・教具の作り方
生後0〜3ヶ月:視覚の発達を促す「モビール」
ゆらゆら揺れる動きで、赤ちゃんのピント調節機能や物を目で追う「追視」の練習を促します。赤ちゃんの目から30cmほど離れた場所に吊るしましょう。認識しやすい赤やオレンジなどの暖色系がおすすめです。
生後3〜6ヶ月:触覚を育てる「センサリーボトル」
キラキラした見た目と、中のビーズなどがゆっくり動く様子が赤ちゃんの興味を引きます。握ったり振ったりすることで、触覚や聴覚の発達もサポートします。
生後6〜10ヶ月:つかむ・にぎる力を育てる「ニギニギ・ガラガラ」
物に手を伸ばし始める時期に最適な布製のおもちゃです。様々な素材の感触を楽しみながら、つかむ・にぎる動きを自然に促します。
生後10〜12ヶ月:因果関係を学ぶ「ミルク缶で作るポットン落とし」
「物を穴に入れると下に落ちて音がする」という単純な繰り返しが、因果関係の理解につながります。ミルク缶の「カラン」という楽しい音に、赤ちゃんは夢中になるでしょう。

【1歳児向け】モンテッソーリ手作りおもちゃ・教具の作り方
歩き始め、指先が器用になる1歳児は好奇心の塊です。「自分でやりたい」という気持ちが芽生えるこの時期に、達成感を育む6つのおもちゃを紹介します。
指先のつまむ動きができる「洗濯バサミ遊び」
洗濯バサミを開閉する「つまむ」動きは、お箸や鉛筆を持つための指先の力を育てます。厚紙に好きな動物の絵を描くなど、子どもが興味を持つデザインで作ってあげると良いでしょう。
道具を使ってすくう・運ぶ「ポンポン移し」
スプーンなどの道具を使う練習になるおもちゃです。「お皿からトレイに移す」という目的のある動きが、集中力と目と手の協応性を高めてくれますよ。
集中力が養われる「ストロー落とし」
容器の小さな穴をめがけてストローを入れる単純な動きが、子どもを夢中にさせ集中力を育てます。。
形の認識「型はめパズル」

◯△▢といった基本的な形に触れ、形の認識力を育む手作りパズルです。「同じ形はどこかな?」と探す遊びが、観察力や思考力の基礎を育てます。
引用:おうちdeモンテ「【100均 de モンテッソーリ教具を簡単手作り】つまみ付き!「型はめパズル」の作り方①【1歳】【2歳】【3歳〜】」
指先と手首の連動性を育む「フェルトのボタンかけ」
衣服のボタンかけの練習にぴったりです。大きめのボタンとフェルトを使えば、1歳児でも楽しく挑戦できます。
興味が芽生える「ビジーボード」
ファスナーやスイッチなど、子どもが興味を持つ仕掛けを一枚の板に集めたおもちゃです。「触りたい!」という探求心を安全な環境で満たし、指先をたくさん動かすことができます。
【2歳・3歳向け】モンテッソーリ手作りおもちゃ・教具の作り方
2〜3歳は言葉が増え「自分でやりたい」気持ちが強くなる時期です。そんなお子さんの発達を後押しする、手作りおもちゃを紹介します。
色合わせを学ぶ「ペグ差し」
色の違いがわかり始める時期にぴったり。「同じ色」を見つけて、つまんで、穴に入れる一連の動きが、色の識別能力や集中力を高めます。
集中力を高める「ひも通し」
集中力を育む代表的なおもちゃです。片手でパーツを持ち、もう片方の手でひもを通すという両手を使った動きは、子どもにとって良い挑戦になります。
思考力を育む「のり貼り・シール貼り」
「貼る」活動は、指先を使いながら思考力や創造性を育みます。台紙の「どこに貼ろうか」と考えることが、計画性や空間認識能力につながりますね!
【4歳・5歳・6歳向け】モンテッソーリ手作りおもちゃ・教具の作り方
4歳以降は、文字や数への関心が高まり、思考力もぐんと伸びる時期です。知的好奇心を満たす、少し複雑な「おしごと」にも挑戦してみましょう。
文字への関心を高める「砂文字板」
文字の形を指でなぞり、触覚と視覚の両方から学べる教具です。なぞりながら文字の音を言ってあげると、形と音が自然に結びつきます。
数の概念を理解する「赤い玉」
数字という記号と、実際の「量」を結びつけるための教具です。具体物を手で触って数えることで、数がどれくらいの量なのかを体感的に理解できます。
日常生活の練習になる「縫いさし」
指先を緻密に動かす練習になり、高い集中力を養います。針と糸で点を繋ぐ作業は、文字を書くための運筆(えんぴつを動かすこと)のトレーニングにもなります。
創造性が広がる「ハサミで切る」
子どもにとってハサミは、自分の力で物の形を変えられる魅力的な道具です。直線を切ることから始め、段階を踏んで練習できる紙を用意しましょう。

100均で揃う!モンテッソーリおもちゃの材料リスト
「手作りしたいけど、材料集めが大変そう…」と感じるかもしれませんが、100円ショップは材料の宝庫です。ここでは、店舗ごとの特徴とおすすめの材料をご紹介します。
ダイソーのおすすめ材料
カラーフェルト
色の種類も多く、様々な手作りおもちゃの土台になります。「ボタンかけ」や図形を作る「のり貼り」のおしごとにもぴったりです。
デザインボード
ひも、鏡などを取り付けることでビジーボードの材料になります。木ダボを取り付けることで、輪ゴムを使って図形遊びもできますよ。
カラーサンド
綺麗な色の砂は、指で文字を書く「砂文字」の練習や、スプーンですくって別の容器に移す「あけうつし」の活動に使えます。
セリアのおすすめ材料
ウッドビーズ
温かみのある手触りが魅力です。ウッドビーズは「ひも通し」やビジーボードなどに活用できます。
カラフルなポンポンボール
様々なサイズや色のポンポンは、トングでつまんでお皿に移す「ポンポン移し」の定番アイテム。指先の力や集中力を伸ばしたいときは、もってこいの商品です。
アイストレー
ポンポン移しの受け皿として大活躍します。一つずつ穴が分かれているので、色分けしたり数を数えたりする活動にも発展させやすいです。
キャンドゥのおすすめ材料
種類豊富なシール
丸シールやキャラクターものなど、シールの種類が豊富です。台紙の丸に合わせて貼る「シール貼り」は、指先の巧緻性と集中力を高める人気のおしごとです。
ヤマトのり
子どもにも使いやすいジャータイプの「でんぷんのり」保育園や幼稚園と同じタイプなので戸惑うことなく使えます。
数字マグネットシート
数に興味をもつ段階で効果的なアイテムです。ホワイトボードと一緒に使うことで、時計への興味にもつながります。

保育士が教える!手作りモンテッソーリおもちゃを成功させるポイント
愛情を込めて作ったおもちゃも、ただ渡すだけでは子どもの興味を引けないことがあります。
モンテソーリ流!おもちゃの「提示(見せ方)」と「環境設定」の工夫で、子どもの「やってみたい!」を引き出しましょう。
ゆっくり・正確に・無言で
おもちゃの使い方は「ゆっくり・正確に・無言で」見せるのが基本です。言葉で説明すると、子どもの意識が声に向いてしまい、肝心な手の動きに集中できません。
「みててね」と伝えると、子どもは視覚から得た情報を頼りに、動きを真似してくれますよ。
子どものペースを大切に
大人が手本を見せた後は、子どものやり方に口や手を出さず、じっくり見守りましょう。子どもには、自分で試行錯誤しながら学ぶ時間が必要です。
「そうじゃない」と訂正すると、子どもの「自分でできた!」と感じる機会を奪ってしまうため、言いたくても我慢しましょう。

子どもが夢中になる「おしごと」の環境設定3つのポイント
子どもが自分で選べる高さのおもちゃ棚を用意する
おもちゃは、子どもの目線の高さにある棚へ、一つひとつが見えるように並べましょう。
おもちゃ箱に無造作に入れるのではなく、子どもが「今日はどれにしようかな」と主体的に選べるようにするのがポイントです。
おもちゃ(教具)はトレーに一つずつ乗せて提示する
一つのおもちゃは、関連パーツをすべて含めてトレーに乗せましょう。これにより、子どもは目の前のおしごとに集中しやすくなります。
始めは親も一緒に遊ぶ
新しいおもちゃに子どもが興味を示さない時は、まず親が楽しそうに遊んでみせましょう。
「ママがやってみるね」と声をかけ、楽しそうに取り組む姿を見せることで、子どもの「面白そう、やりたい!」という気持ちを自然に引き出せます。

手作りモンテッソーリおもちゃの注意点と安全対策
誤飲防止の工夫
おもちゃに使う部品は、子どもの口に完全に入らない大きさにすることが絶対条件です。トイレットペーパーの芯(直径約4cm)を通過しないサイズが、安全な大きさの一つの目安になります。
出典:NHK首都圏ナビ「子供がおもちゃを誤って飲み込む事故 どう防ぐ〜トイレットペーパーの芯の直径より小さいものは注意〜」
定期的なメンテナンス方法
手作りおもちゃは、定期的な点検とメンテナンスが重要です。子どもが繰り返し遊ぶことで、緩みや素材の劣化が起こる可能性があります。
市販品より耐久性が低いことを覚えておき、大人がこまめにチェックしましょう。

保育士が解説!モンテッソーリ手作りおもちゃのQ&A

モンテッソーリ流の手作りおもちゃについて、現役保育士がよくある質問にお答えします。
「うちの子、全然興味を示さないんです」
焦る必要はありません。おもちゃが現在の発達段階や興味と合っていない可能性があります。
まずは大人が楽しそうに遊ぶ姿を見せ、それでも反応が薄い場合は一度片付け、子どもの「今」を観察しておもちゃを合わせましょう。
「何歳から始めるのが効果的?」
「何歳から」という決まりはなく、始めたいと思ったらいつでも大丈夫です!
大切なのは年齢ではなく、子どもの発達段階や興味に合わせた環境を用意することです。まずはお子さんの行動をよく観察してみましょう。
「市販品と手作り、どちらがいい?」
それぞれに良さがあるため、うまく使い分けるのが理想です。
手作りは子どもの発達にぴったり合わせられる手軽さが魅力。市販品は専門家が監修した安全性や正確性が魅力です。
「きょうだいで遊ぶ時の工夫は?」
「おしごとは一人ひとつ」という基本ルールを伝え、順番を待つことも大切な学びになります。
おもちゃの取り合いになる場合は、別の手作りおもちゃを提示したり、同じものを2つ用意したりする工夫も有効です。
「おもちゃの遊び方が複雑でわかりません」
まず保護者の方が、おもちゃのねらいと使い方を理解しましょう。遊び方が複雑に感じるなら、YouTubeなどの動画で実際の提示方法を見るのがおすすめです。

手作りが難しい時は「トイサブ!」で本格モンテッソーリ

「忙しくておもちゃを作る時間がない」「本格的な教具も試したい」という方には、知育玩具のレンタルサービス「トイサブ!」もおすすめです。
市販品を上手に取り入れ、充実したおうちモンテ環境を整えましょう。
プロが選ぶ発達に最適な知育玩具が2か月毎に届く!
「トイサブ!」の魅力は、おもちゃ選びのプロがお子さんの発達にぴったりなものを選んでくれる点です。
自分では選ばないような新しいおもちゃとの出会いが、子どもの可能性を広げてくれるきっかけになりますよ。
成長に合わせて交換できる!
高価な知育玩具を購入しても、すぐに遊ばれなくなることは少なくありません。
「トイサブ!」はレンタルなので、遊ばなくなったおもちゃは返却し、成長に合わせた新しいものと交換できます。
手作りおもちゃと併用で効果倍増!
「トイサブ!」とモンテソーリ流の手作りおもちゃは、組み合わせることで相乗効果が生まれます。手作りの温かみと、専門家が監修した市販品の良さを両立できるためです。
例えば、手作りの「ポットン落とし」とレンタルのパズルを使い分けるなど、両方を活用すれば、お子さんの成長や興味、性格に合わせて遊びの選択肢が広がりますのでぜひ併用してみましょう!
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