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子育て相談室|Case.1 もうすぐイヤイヤ期を迎える1歳9ヶ月の息子について

子育て相談室|Case.1 もうすぐイヤイヤ期を迎える1歳9ヶ月の息子について

2023/09/15

「発達的な凸凹は誰もがもっている」ということを前提に、子育てに困り感のある親子向けに、研究成果に基づくサポートプログラムを展開する、特定非営利活動法人ADDS。その共同代表であり、公認⼼理師/臨床⼼理⼠の資格を持つ竹内弓乃さんが、長年培った経験や心理学の知見をもとに、育児に関する多様な悩みに答える連載企画がスタートします。

今回は、4歳6ヶ月の娘と1歳9ヶ月の息子を育てる、トイサブ!スタッフの石原さんの悩みに答えます。まずは1歳9ヶ月になる息子さんの3つのお悩みから。

相談回答・記事監修者

⽵内 ⼸乃(たけうちゆの)

特定非営利活動法人ADDSの共同代表。公認⼼理師、臨床⼼理⼠を保有。ADDSでは子どもの発達に関するサポートプログラムの展開や、相談窓口を設けている。

【HP】https://adds.or.jp/
【ADDSの提供するオンライン発達相談】https://adds.or.jp/sodan/

 

相談者

トイサブ!スタッフ 石原

マーケティング本部PRコミュニケーショングループに所属し、トイサブ!の広報・PRを担当。4歳6ヶ月の娘と1歳9ヶ月の息子のママ。

お悩み①
イヤイヤ期の対応、どうしたらいい?
息子は言葉より先に手が出てしまいます

石原:息子は今1歳9ヶ月で、イヤイヤ期が近づいているのかなと感じることが多くなってきたのですが、まだそんなにうまく言葉を伝えることができないので、「イヤ」って伝える時に、バン!って手が出ちゃうんです。「イヤ」っていう感情をどうしても伝えたい時にそうなっちゃうみたいで……。
そもそも、私自身がイヤイヤ期との向き合い方に迷っていて。イヤイヤが起こらないよう接してあげるべきなのか、これも感情の勉強だから避ける必要はないのか……。手が出てしまうのも、言葉の発達が追いつくまでのちょっとした期間だけだと思うんですけど、ストレートに怒るのがいいのか、ダメだよって優しい言葉をかけ続けるのがいいのか、対応が難しいなと思っています。

竹内:たとえば、どのような場面ですか?

石原:4歳のお姉ちゃんと遊んでいて、遊んでいたおもちゃを取られちゃった時に、「ぼくはもっとそれで遊びたいよ」って伝えたくて、手が出てしまうんですよね。

竹内:イヤイヤが起こらないようにするのか、避けない方がいいのか、っていうところですよね。厳密にはどっちと言いづらいと思っているのですが、イヤイヤに繋がる原因をゼロにすることはできそうですか?

石原:うーん……、できそうにないですね。上の子のときは、それこそイヤイヤを踏まないよう生活していたんですよね。例えば、ガチャガチャを見たら「イヤイヤ」するから通らないように生活するとか、家の中でタブレットを渡したら見終えるまで「イヤイヤ」するから見せないようにするとかしていたんです。でも下の子は、余裕がないのでそれを徹底することが難しいかなと思っています。

竹内:そういう事前の工夫をできるのはとても良いと思います。一方で、やはりゼロにはできない。イヤイヤが出ちゃう時っていうのは、お子さんとしては気持ちを自分なりに伝えている場面なので、してはいけない訳ではないんです。
成長して段々とできることが増えてきたり、「こうしたい!」という意思が出てくると、お子さんの中で思い通りにいっていないことも認識できるようになってくるんですよね。意識としては成長しているのに、実際にできることがついてきていない。言葉も伝えたいことが先行しているのに、言葉でどう表現していいかわからない。一番戸惑っているのは、お子さん本人なんですよね。なのでイヤイヤ期のお子さんって、なんかずっと満たされない。常に不機嫌だったり、すぐに癇癪を起こしたり。
でもそういったことを経験しながら、自分ができることの限界を知ったり、人に助けを求めることがあることを学んでいってるんです。

石原:確かに、息子本人が一番どうしていいのかわからなくて、戸惑っているのかもしれません。そんな息子には、どんな風に接して上げるのが良いでしょうか。

竹内:「ここまで頑張ってすごいよ。できないとイヤだよね」と共感してあげるといいと思います。でも叶えてあげられないことも現実的にはあるから、「これはできないんだ、ごめんね。でもこっちならできるよ」って代替手段を教えてあげるのもいいですね。それでもすぐに「じゃあそうしよう」ってならないと思うんですけど、その時は落ち着くまで見守りましょう。
あと、おもちゃを取られて手を出しちゃった後であれば「急に取られたらびっくりしちゃうよね」とか「イヤだったんだ、でもお姉ちゃんも使いたいんだって、どうしようか?」という感じで寄り添いながら、次の展開を話しかけてみるのはどうでしょうか。
また、お姉ちゃんにもぜひ、相談してあげてください。お姉ちゃん自身もケンカになったら楽しくないと思うので、弟がおもちゃで遊んでいる時のお約束を一緒に考えてみるとか。また、おもちゃを娘さんと息子さんで分けるのもいいと思います。

石原: 上の子は「これはお姉ちゃんのだよ、これは弟くんのだよ」と結構わかっているので、はっきりと分けてあげるのはいいのかもしれないですね。

竹内:お姉ちゃんがどうしても触られたくないおもちゃがあるなら「ちょっと高い位置に片付けておこうね」とか「遊びたいときは、テーブルの上で遊ぼうね」とか、取り合いにならない工夫をお姉ちゃんに相談しておくのもいいと思います。

石原:良いですね、やってみます!言葉で伝えることができるタイミングまでは、手が出るきっかけが減るように少し配慮してみたりして、イヤイヤ期に向き合ってみたいと思います。

お悩み②
単語は言えるようになってきたけれど
2語文になかなか目覚めません

石原:ママ、パパ、救急車とか、単語はかなり言えるんです。でも「わんわん、いる」とか2語目に目覚めていなくって……。どうやって引き出してあげるのがいいのかなって思っています。

竹内:まず1つは、お子さんが一語で言ってきたら、それを二語で返してみてください。彼がわんわんを見つけて、「わんわん」と言ったら「わんわん、いるね」と返したり、ジュースが欲しくて「ジュー」と言ったら、「ジュース、飲む?」と返したり。こう言えばよりいいよという文章を、まずは聞かせてあげるといいと思います。

石原:なるほど。つい息子に「わんわん いる って言ってごらん」と求めてしまっていたのですが、まずは、見本を見せるような気持ちで、親が2語文で返答してあげるってことですね。

竹内:そうですね。その中で、2語文への馴染みが増えてきたら、次のステップとして、「お子さんにも言ってもらう」の練習ができたらいいと思います。ダイレクトに何か要求があるタイミングでやるのがおすすめです。例えば、ジュースが飲みたい時に「ジュース」と言ってきた時に、「ジュース、ちょうだいだよね」とか、「ジュース、開けてだよね」と教えると、「ジュースを飲みたいことを伝えるときは、そうやって言うのか」と、「飲みたい!」という動機付けも高いので、お子さんも覚えやすくなります。

石原:良さそうですね!確かに「わんわん いる」よりも「まんま 食べる」のほうが、伝えたい意欲が高そうです(笑)やってみます!

お悩み③
たくさんの経験を与えたいけど
どんな体験や遊びが良いか分かりません

石原:1歳9ヶ月になって、できることも増えてきたし、歩くのも好きなので色々経験をさせたいなって思うんですけど、出来ないことも多くて……。外出しても、落ち着いて座ったり、聞いたりができなくて、ワークショップもまだ全然参加できません。息子くらいの年齢の子どもって、どういう体験とか遊びをするのがいいのか分からなくて悩んでます。

竹内:お子さんは、どんな遊びが好きですか?

石原:今はとにかく歩きたいが一番ですね。お外に行って、探索しながら色んなモノに触りたい。外遊びがかなり好きだと思います。

竹内:親がさせたいことよりもお子さんの興味というのが一番学びの質が高くなるので、外を探索するというのはすごくいいと思います。「あのお花なんだろう?」とか「すごくキレイな色だね」とか。ママが「いい匂いがする」って言えば、匂いの感覚も育まれますよね。自然って常に変化していて刺激が多様なので、天気だけでも感じるものは違うはずです。

石原:ワークショップに参加しなきゃとか、頑張って遠出して、特別な場所に連れて行かなきゃと思いがちなのですが、探索を楽しめる場所であれば、近所の公園でも良いのでしょうか?

竹内:いいと思います!お子さんと「これは何かな」「なんだろうね、こっちにも似たものがあるよ」っていろんなものを探してみてください。大人が「こんなのもあったよ」って見せてあげるといいと思います。お子さんが興味もったものに、「わあ、すごいね!面白いね。こっちもおもしろいね」って乗っかってあげると、楽しみを共有できたという喜びにもなります。それだけでも十分な体験だと思いますね。

石原:良かった、ちょっと安心しました!例えば、秋になったら、公園でどんぐりや松ぼっくりを見つけたりとか。定番な気がしますが、そういうのでもいいんでしょうか?

竹内:とてもいいと思います。大人にとっては、ただ単に「どんぐり、松ぼっくりがあった」なんですけど、お子さんにとっては、初めて見るものも多く、すごく新鮮だと思います。

石原:そうですね、つい自分視点で考えがちですが、息子にとっては、どんぐりも松ぼっくりも新鮮味がありますよね。秋は公園に出掛けてみます!

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